切手趣味週間

切手趣味週間

切手趣味週間を彩る日本の美:北斎の富士から広がる図案の世界

切手趣味週間。それは、1947年に始まった、切手収集の健全な普及を目的とした特別な一週間です。その最初の年を飾ったのは、世界的に有名な浮世絵師、葛飾北斎の「山下白雨の富士」でした。黒い雲の下にそびえ立つ雄大な富士山の姿は、小さな切手の中に力強く表現され、多くの人々の心を捉えました。

この「北斎の富士」を皮切りに、切手趣味週間の図案は、日本の豊かな文化と美意識を映し出す万華鏡のように、多彩な展開を見せていきます。翌1948年には、優雅な姿の「見返り美人」が切手を飾り、その繊細な美しさは、瞬く間に人々の憧れの的となりました。さらに翌年の1949年には、月明かりの下を飛ぶ雁を描いた歌川広重の「月に雁」が登場し、その詩情豊かな風景は、多くの収集家を魅了しました。

これらの初期の図案に見られるように、切手趣味週間では、日本の誇るべき美術作品や文化財が積極的に採用されてきました。浮世絵の他にも、絵巻物、屏風絵、工芸品など、様々なジャンルの芸術が切手の小さな世界に凝縮され、私たちに日本の美意識の多様性と奥深さを教えてくれます。